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虚数 電気・電子回路では避けて通れない厄介なもの [Other]

 今回は、断捨離しながら電気・電子回路に出てくる虚数について考えてみました。

学生時代から虚数の計算は避けて通りたいものでした。


虚数の虚という字をネットで調べてみると、

コトバンクに

④ 事実でないこと。⇔実(じつ)。
(イ) うそ。いつわり。そらごと。虚言。〔文明本節用集(室町中)〕
※浮世草子・傾城禁短気(1711)一「そなたの身請をする我心底は、実か虚(キョ)かいふて見や」 〔史記‐信陵君伝賛〕

とあります。

英語では imaginary。Google で見ると、意味は「existing only in the imagination. 架空の」となっています。


断捨離の一環として大学時代の教科書も断捨離しようとしています。
その中に「線形電子回路」の教科書もありました。昭和48年の本です。

1章には「交流理論の基礎」があり、1.3で「jω の導入」があります。

交流理論の最初として、取り扱う信号の定義がなされています。
これは角周波数ω、振幅A、位相角φ のサイン波として定義されています。

a(t) = A・sin(ωt + φ)

これを線形受動素子 (LCR) に加えた時の電圧と電流を求めています。

レジスタンス
 V = R・I
インダクタンス
 V = L・(dI/dt)
キャパシタンス
 I = C・(dV/dt)

i = I・sinωt
v = V・(sinωt + φ)

v = R・I・sinωt
v = ω・L・I・sin(ωt + π/2)
v = (I/ω・C)・sin(ωt - π/2)

線形不変の素子の場合、変化しないωと変化する φ が sin の中に同居し、厄介です。
ここでオイラーの公式が出てきます。
e^±jθ = cosθ±j・sinθ
j = sqrt(-1)
ここで虚数の登場です。

そして、以下の関係から
e^j・(ωt + φ) = e^(j・ωt)・e^(j・φ)
計算から e^(j・ωt) の項が外されます。

sinωt の代わりに e^(j・ωt) を用いると
v = R・I・e^(j・ωt)
v = j・ω・L・I・e^(j・ωt)
v = (I/j・ω・C)・e^(j・ωt)

I・e^(j・ωt) を i として

v = R・i
v = j・ω・L・i
v = i/j・ω・C

まとめて
v = Z・i
これはオームの法則を直流から交流に拡張したものになっています。

Z は、R、j・ω・L、1/j・ω・C

オームの法則を交流に拡張するため、i = I・e^(j・ωt) が導入され、虚数部も使って電流、電圧が計算されます。

交流では虚数単位 j を使って、いろいろと計算されていきます。

いろいろな信号はほとんどが交流信号です。交流信号には j が付き物です。
なので、虚部 j は、「うそ、いつわり」でなく、金子みすゞさんの詩のように「見えぬけれども あるんだよ」というもののような気がします。
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